相手の車の修理は車両保険?それとも対物保険?車両保険と対物保険の違いをプロが解説
自動車保険は、損害を受けた物によって対応する保険がそれぞれ異なるということをご存知でしょうか?
この記事では、皆さんが混同しやすい「対物保険」と「車両保険」の違い、さらに対物保険を使った場合、自分の車も保険で修理したほうが良いのか?まで掘り下げて解説します。
相手の車の修理に使う保険は何?
おもに自動車保険には「対物賠償保険」「対人賠償保険」「搭乗者傷害保険」そして「車両保険」などがあります。
あなたが運転する車が、他人の運転している車と事故を起こしてしまったときに、相手の車の修理費を補償する保険は、自動車保険の中の対物賠償保険(対物保険)となります。
自分の車も相手から見れば “相手の車” ということになるので、あなたの車は相手の対物保険で補償されます。
自分の車は車両保険、相手の車は対物保険
車の修理に使われる保険は、全て車両保険と思われがちですが、実際に使われる保険の種類は、相手と自分とで対象となる保険が異なります。
車に使われる保険の中で、自分の車に使われる場合は基本的に車両保険が補償対象となり、相手の車に対しては、対物保険が補償することになります。
このように、同じ「モノ」である車ですが対象物によって適用される保険が変わります。
そこで、車両保険と対物保険とは何かについて詳しく見ていきます。
車両保険とは
車両保険は、自分の車を補償する保険で、他の対象物を補償することはありません。
また、車両保険で補償されるのは、財物が対象となっていますが、基本的に車の損傷にしか保証が適用されず、仮に車に高価な商品を置いていて、それが壊れたとしても車両保険では補償されません。
ただし、新車購入時などのオプション品は補償対象となるほか、車をカスタマイズしていた場合も、原状回復なのでカスタマイズしていた部品に対しても補償がされます。
注意すべき点は、車には時価総額が決められており、車両保険に加入する時も車の時価総額までの損害の補償となることです。
この時価総額は、新車から年数を重ねるごとに安くなってきます。
例えば、新車で1000万円で購入した車でも、購入して10年目に事故に合ったら、時価総額は10年落ちの車の価値になり、補償される金額も10年落ちの車に対しての金額になります。
ただし、各保険会社ではある程度車両保険限度額に幅を持たせています。
もちろん高い車両保険限度額に設定すると支払う保険料も高くなりますから、自分で車両保険限度額を決める際は、支払う保険料を見ながら決めることができます。
そこで、時価総額が安いと感じる時は、何社から見積もりを取って自分の納得する車両保険金額を支払ってもらえる保険会社と契約することも一つの方法でしょう。
一括見積をオススメしているのは「保険料が安くなるから」という意味もありますが、納得できる車両保険金額が支払ってもらえる保険会社が分かるということもあります。
正直、普段から店舗で自動車保険に携わっている筆者からすると、最近流行りの「一括見積」で、より条件の良い保険会社があることを知られてしまっては困るのですが、事実として一括見積の優位性はすごくあると思います。
対物保険とは
対物保険とは、車の運転中に相手の車や家の壁、電柱やガードレールなどの「相手の物」を壊した時に、法律上の損害賠償責任が発生した時に、補償する保険となります。
街中には、色んなモノであふれており、中には高額なモノが設置されていることがあります。
例えば、信号機1基が350万円から400万円が相場といわれていますが、壊れた信号機を撤去して、新しく設置する場合には、最低でも500万円かかるといわれています。
また、街中には意外と数千万円の高級車も走っていますが、それらの車と事故を起こした場合にも、対物保険で対応します。
対物保険には、補償限度額が決められているものから無制限となっているものまでありますが、現代の街中の事情を考えると、補償無制限の対物保険に加入するのが安心でしょう。
相手の車に車両保険は使えないのか
車対車の事故の時に、自分の車は車両保険を使って修理することはできますが、相手の車には対物保険が補償をします。
相手の車の修理金額が対物保険で賄えないからと、車両保険でも補償をしてもらいたいと頼み込んでも、それはできない相談となります。
あくまでも車両保険は「自分の車に損害が発生した場合の補償」に限定される保険です。
対物保険が支払われる金額
対物保険は、支払われる金額にモノにより限度額が設定されます。
特に相手の車を修理する場合は、対物保険の限度額に注意する必要があります。
また、対物保険は保険の契約時にいくらまで賠償するかを決めるので、それ以上の賠償責任が発生しても対物保険は対応しません。
そこで、対物保険がどのように支払われるのかを詳しく見ていきます。
対物保険は時価額までしか支払われない
対物保険は、基本的に損害を与えてしまったモノに対して時価総額しか補償しません。
例えば、相手の車の時価総額が50万円としたときにその修理金額が80万円と見積もられても、自賠責保険は時価総額の50万円しか補償することはありません。
残り30万円の相手の修理費は、自費で支払うことになります。
対物保険には無制限がありますが、無制限とは時価総額まで無制限で補償するということで、相手の提示する補償額を全て補償することではありません。
そこで、古い車などの場合、修理金額が補償金額を上回ることがあるので、「対物超型修理費用特約」を付けておくと安心です。
対物超過修理費用特約は、どこの保険会社でも概ね50万円上乗せして保証してもらえるので、時価総額が低い車を損傷させた場合でも、修理費用を全て補償してもらえることが多いので、相手ともめることが少なくなるでしょう。
車対車の事故では対物保険が優先して支払われる
車対車の事故で、相手から対物保険で自分の車の修理費用を補償してもらう場合、修理費用が時価総額を超えてしまう場合は、差額分を自分の車両保険で賄うことになります。
車対車の事故の場合、よほどのことがなければ100対0の過失割合にならないので、お互いに過失が発生しお互いが保険を使用することになるでしょう。
例えば、自分の過失が3割で相手が7割の過失とした場合、自分の車の修理金額が仮に100万円とすれば、相手の対物保険は70万円しか補償しません。
そこで、自分の対物保険を使うことから等級は3等級さがるので、自分の車両保険を使って相手の対物保険で補償されなかった差額分に使うようにします。
このように、自分の車両保険は、相手の対物保険で支払われなかった部分を補填する使われ方をします。
車両保険も対物保険も使えば等級は下がる
自動車保険には等級があり、1年間無事故であれば1等級ずつ上がっていきます。
しかし、事故にあい保険を使うと3等級下がってしまいます。
事故は、1事故1カウントの原則があり、1事故であれば車両保険の中の保険をいくつ使っても等級は3等級しか下がりません。
例えば、対物保険を使って3等級下がり車両保険で3等級下がることはなく、1事故1カウントなので、対物保険や車両保険の両方を使っても3等級のダウンだけで済みます。
そこで、対物保険も使えばどのみち等級が下がるので、相手に対物保険を使うことになるなら、自分の車にも車両保険を使って修理するのが得策です。
相手の車を対物保険で直すなら自分の車も車両保険で直そう
相手の車がある事故の場合、自分の車も損傷が大なり小なりあるでしょう。
その場合、相手の車の修理の補償を対物保険で行いますが、1事故1カウントの原則なので、たとえ相手の補償が1万円でも100万円でも1カウントには変わりはありません。
そこで、相手の事故に対物保険を使ったら、たとえ自分の車の損傷が小さくても車両保険を使って自分の車を修理するようにしましょう。
相手の車に対物保険を使えば、どのみち3等級下がり翌年の保険料は上がることになりますから、もし自分の車の損傷が小さいからと、車両保険を使わなかったらもったいないことになります。
対物保険も車両保険も自分を守るため
対物保険と車両保険では、補償の対象物が違いますが、どちらも自分の財産を守るために必要となる保険といえます。
自動車保険は、一種のお守りのようなもので、事故がなければお金を捨てているようなものですが、いざ事故に遭遇した時には、これほど頼りになるものはありません。
自分の対物保険と車両保険をもう一度確認して、いざというときに困らないような保険内容にしておきましょう。
画像出典:https://www.insweb.co.jp
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